2014年10月13日月曜日
『イスラームのロジック―アッラーフから原理主義まで』中田考
『イスラームのロジック―アッラーフから原理主義まで』中田考
あまりの素晴らしさに、言葉もありません。存在を知りながら今まで読んでいなかったのが不思議でなりませんが、同時に今この時になって頁を開いた、ということにも主のはからいがあるのではないか、と思えるほどです。中田考
日本語で書かれたイスラームについての一般書籍として、間違いなく最高の一冊ですが、それは単に「よく書かれている」という程度の差異に由来するのではなく、一般の「イスラーム本」とは、立場も次元もまったく異なる、という意味でです。
もしこの本をアラビア語で読んでいたら、これほどの衝撃は受けなかったかもしれません。アラビア語の文脈、ムスリムの文脈においては、「当たり前」な部分が沢山あり、正確には「当たり前のことを徹底して当たり前に書く」ことを極めたのがこの本だからです。中田考
しかし、この「当たり前」が、これほどの精度で貫かれているのを、日本語では一度も見たことがありません。それはおそらく、日本語・日本人の文脈では、この「当たり前」が著しく違和感のある不気味なものとして映らざるを得ないからでしょう。
エジプト人やその他の国籍のムスリムと、アラビア語もしくは英語で会話していて、こういうコンテクストを前提としていることは、よくあります。その中には、日本に生まれ育った者として、当初生理的な違和感を感じていたものも多々あり、だからこそその「ザラザラした感じ」と向き合いたくて、この道を歩んできたのです。
それだけに、一流のイスラーム研究者の方々が、日本人にとって心地よく分かりやすい部分を紹介してしまうのは分かるし、日本の「イスラーム本」のほとんどはこの類です。お断りしておきますが、これらの著者が「悪い」と言いたいのではありません。言わば「イスラームを異文化として尊重」する立場から、善意としてこういう書き方をされたのでしょう。
しかし、本書はまったく異なります。
後述のように、本書はイスラームを「異文化」ともしないのですが、日本語を使いながら、まるでアラブ世界のムスリムが書くかのように、イスラームの「当たり前」を正面からぶつけてきて、しかもこれが凄まじい気迫に満ちていて、瞬きする隙も与えられないほどです。
「イスラームについてまったく無知なので勉強したい」という人に、わたしはこの本を薦めません。衝撃の余り、イスラームに対して敵対的になってしまうことが怖いからです。
本当に大切な人に、イスラームについての本をムスリムとして一冊差し出すなら、この本を選びます。信頼できる友人、知性を期待できる人物にだけ、この本をonly oneとして薦めます。類書はありません。
あまりに興味深いので、何回かにエントリを分けてご紹介しますが、今回はまず中田先生の本書に向かう姿勢から。中田考
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