2014年10月15日水曜日
実は紳士で技術の人、糸井嘉男。投手が語る、驚愕のバットスピード。
実は紳士で技術の人、糸井嘉男。投手が語る、驚愕のバットスピード。
「捕れなかったら、と思うと今でもゾッとしますね。死んでたかも(笑)」糸井嘉男
そうオリックス・糸井嘉男の恐怖体験を語るのは、去年まで、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスのエースだった井川博文だ。
右サイドハンドで150kmの剛速球を持つ井川は、プロ注目の逸材だった。しかし昨年のドラフト会議で指名漏れ。今年で27歳になるということもあり、年明け、引退を決断した。
独立リーグ時代、井川は秋になると選抜チームに選ばれ、フェニックス・リーグに参加した。同リーグはNPBの若手や二軍選手が実戦経験を積むための教育リーグだが、クライマックスシリーズや日本シリーズを控えているチームは、調整のために主力級が頻繁に出場する。糸井嘉男
井川の「思い上がり」をたしなめた糸井のスイング。
横手から150kmを投げられる投手はNPBでもそうはいない。そのため井川は「フェニックスでは打たれた記憶がほとんどない」という。
'11年秋は、オリックスの下位打線にオール直球勝負を挑み、三者連続三振を奪ったこともある。
「それまでは、プロ野球ってとんでもない世界だと思ってたけど、そこまでではないんだと思った」
そんな井川の思い上がりをたしなめたのが、現在リーディングヒッターで、当時はまだ日本ハムに在籍していた糸井だった。
'12年オフ、リーグ優勝を果たした日本ハムは、プレーオフに備えて主力クラスがこぞってフェニックス・リーグに参加していた。稲葉篤紀など、一軍の打者はやはり雰囲気が違った。その中でも別格だったのが糸井だ。
「外の高めのボールを投げたとき、振り出しが遅かったので、これはファウルかなという感覚だったんです。そうしたら、いきなり顔の近くに打球が飛んできた。打球、ほとんど見えないままにグラブを出したら、勝手にボールが入ってくれた……。
打つポイントがめちゃくちゃ近いし、バットスイングも半端じゃない。そこから振って、ここに打てるか、って。打球が怖いと思ったのは、あれが初めてでしたね。飛ぶボールになったら、あのピッチャーライナーは危険ですよ」
日本ハムの増井が語る「飛ばす力とミート力」。
糸井というと、ずば抜けた身体能力ばかりが注目されるが、井川が語ったように技術の人でもある。体の開きを極限まで我慢し、瞬時に爆発させられるのは、打撃センスがなければできない高等技術だ。
糸井の才能を見いだした日本ハムの前監督、梨田昌孝は糸井を「イチローと松井秀喜を足して二で割ったような選手」と評していたが、言ってみれば、「イチロー」的部分だ。
技術も身体能力に支えられているといえばそうだが、糸井を「超人」という側面だけでは語り切れないのも事実だ。糸井嘉男
井川とまったく同じようなことを話していたのが、日本ハムの抑えのエース、増井浩俊だ。
増井に日本のプロ野球界で最高のスラッガーは誰だと思うか、と問うたことがある。すると「糸井さんです」と即答した。糸井がオリックスに移籍し、実際に対戦するようになって、その凄さに気づいたのだという。
「飛ばす力と、ミート力を兼ね備えているという意味では、糸井さんが最高峰だと思う。ミートポイントが近くて、振り遅れたと思ったら、三塁線を抜かれていることがある」
技術の人であり、じつは紳士でもある。
また糸井というと「宇宙人」と呼ばれるように、風変わりな性格な持ち主として語られることが多い。
だが井川の中では、強烈なピッチャーライナーもさることながら、その後の糸井の対応も印象に残っている。
「プロ野球の選手って、インコースとかを投げると、けっこうにらんできたりするんです。『ケガさせんじゃねえよ』って感じで。でも、そういう選手ほど実力がない。でも糸井さんは試合が終わった後、わざわざ僕のところへ来てくれて、『大丈夫だった?』って。とてもいい人なんだと思いましたね」
糸井は技術の人であり、じつは紳士でもある。糸井嘉男
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