2014年10月9日木曜日
「歌もダンスもヘタでかわいくない」けど、トップアイドルになった指原莉乃
「歌もダンスもヘタでかわいくない」けど、トップアイドルになった指原莉乃
「読みやすい」と本人も太鼓判を押した、現役アイドルによる新書が売れている。指原莉乃による『逆転力』は8月11日の発売以降、さまざまなブックランキングで上位を飾り続けている。発行部数も初版の5万部から増刷を重ね、8万5000部に達した。akb48
指原莉乃の名は、アイドルやAKB48に詳しくない人でも聞いたことはあるだろう。この春に放送終了した『笑っていいとも!』で2年半レギュラーを務めたことで、顔までわかる人も少なくないはず。
全国放送で実況中継もされるAKBの名物「総選挙」で昨年は1位に輝き、今年も2位の座を射止めるなど、押しも押されもせぬトップアイドルだ。
その指原は、中学3年生のときにAKB48の研究生に合格し、21歳のいまに至るまでAKBグループで活動してきた。その簡単な経緯も『逆転力』の冒頭に、わかりやすく記されている。
小学校時代からアイドル好きだったこと、中学校でいじめられていたことがAKB48に応募する原動力になったこと、上京する前までは「まあまあ自信があった。顔もかわいいと思っていた」のが研究生として活動するうちに「正統派アイドルは無理」と思い知らされたこと…。akb48
その後も時系列的に、約6年にわたる指原の活動とその時々に抱いた思いがつづられていく。(「歌もダンスもヘタでかわいくない」も、本人なりの自己評価。)
実は本書、指原自身が書いたものではない。いわゆる“語り下ろし”というたぐいで、発売当時の記者会見で指原は「書いていない」と公言し、「おもしろい。すごくわかりやすい」と絶賛していた。
そのわかりやすさにはおそらく、指原自身がうっすらとしか自分でも理解していなかった思考を、構成したライターがしっかりとまとめたという意味もあるのではないだろうか。
「自分だけのキャラを見つける」「振られたキャラは否定せず受け入れる」「対人関係に必要なのは“努力”と“客観視”」など、ビジネス書の目次と見まごうばかりの章だてからも、構成力の高さがうかがえる。
項目だてはライターや編集者が行ったにせよ、その大本となる発想は指原自身のもの。仕事への取り組み方やコミュニケーションへの心配りなど、学べることも多い。
たかが21歳のアイドルの浅い思考とあなどるなかれ。6年間の社会人経験といえば、大学卒業後に就職した人であれば、30歳間近に当たる。また、アイドルという人から見られる立場での経験は、見られることや誤解されることの多さは一般社会人の比にならない。
普通の社会人よりも少し濃い仕事経験をして、業界のトップであがき続けている人物の素直な心情。社会との向き合い方に悩んだり試行錯誤したりしている人たちへのヒントが、具体的に示されているからこその売れ行きなのだろう。
『逆転力 ~ピンチを待て~』指原莉乃(HKT48)
「この感じでよくここまで来られた」と、本人が評価する指原莉乃のアイドル人生。それは「勇気を出して、たくさん失敗する」「土俵を替える」「『自分』は、他人が見つけてくれる」「好感度を貯金する」「トクする弱音の吐き方」「余計なことに首を突っ込まない」「戦わなければ、負けない」など、数々の戦略のもとに成り立っていた。指原が6年間の芸能活動で学んだ処世術が、ぎっしり詰まっている。
●芸能界の裏側を覗き知ることができる2冊
トップアイドルの誕生からスターダムまでを見続けている振付師
『エースと呼ばれる人は何をしているのか』夏まゆみ
アイドルに関心が高い人には広く名が知られる超有名振付師、夏まゆみ。紅白歌合戦では17年にわたってステージ上の振付を手がけ、モーニング娘。やAKB48にも深くかかわる存在だ。
自分らしく輝くための方法論を記した『エースと呼ばれる人は何をしているのか』では、「アイドルはビジネスマンにとって最高の教科書と思え」「強みはたったひとつあればいい」「よいプライドは自分を美しく、悪いプライドは自分を醜くする」などの持論が展開される。akb48
若くして芸能界入りするアイドルに対して「たった十数年しか生きていないのに、大人顔負けの努力でエースへの階段を上っていく彼女たちは、十分尊敬に値するし、そこから学ぶべきこともたくさんある」と、夏は記す。指原らが歩んできた道を指導者から見るとこう映るのかと、ある意味では対照的な一冊。 (サンマーク出版/1400円)
芸能界ど真ん中に君臨するジャニーズ事務所にいながら芸能界を小説化
『Burn.―バーン―』加藤シゲアキ
現役アイドルながらも、本格的に小説家としても活動している加藤シゲアキ。デビュー作から芸能界を舞台にした小説を発表し続け、3月には第3弾にあたる『Burn.』が発売された。3作ともが渋谷近辺を描いていることから、3作をまとめて「渋谷サーガ」とも呼ばれている。
ただ単に、アイドルとしての実体験を小説風に味付けしたものではない。その筆力の高さと、実体験を物語として再構成している手腕は、第1作発表時にも各方面の評論者から称賛された。
第1作『ピンクとグレー』で男性アイドル、第2作『閃光スクランブル』で女性アイドルを描いてきた加藤が、第3作で選んだのは元子役の舞台演出家。よりひいた視点から芸能界をとらえ直している。
芸能界での実体験を小説に昇華しているからこそ、よりリアルに感じ取ることができそう。 akb48
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